値下げの撤回経営姿勢疑問

中部電力は、浜岡原子力発電所の放射能を含む冷却水の水漏れ事故に伴い、年間500億円の燃料費負担増になるため、9月から予定していた5%値下げの撤回を検討するようだ。,
しかし、コスト増に対応するために、撤回は当然というような姿勢には大いに疑問を感じる。

この水漏れ事故は、浜岡原発1号機の配管破断事故を受け、2号機も緊急点検を行い、安全が確認されたとして運転を再開させた直後である。その点検がいかに杜撰なものであったかがこの事故でうかがえる。

この様な社内の点検ミスに伴い発生したコスト増は、社内の合理化などで吸収すべきもので、消費者に転嫁する姿勢は、経営者として恥ずべきことである。経営不在と言われてもやむをえないであろう。

先日発表した中電の3月期連結決算は、2年ぶりの減収ではあったが、当期利益は原油価格の下落もあり、前期比17.3%増の1,103億円と、不況にあえぐ企業からみれば夢のような好業績で、今回のコスト増を十分吸収できる利益水準である。
また、日本国内の電力料金は先進各国比割高であり、企業の国際的な競争力が劣る一因でもある。

中部電力は、リストラや倒産などに苦しむ家庭や、企業の競争力向上のためにも、当初予定通り値下げを実行していただきたい。

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